大手専門学校キャリアセンターで活躍するプロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®からの職場報告です。
有資格者が現場で、キャリア・カウンセリングをどのように具体的に 実践しているかがよく理解できます。

専門学校での就職支援 ~ 1

4年制大学の多くが、「就職課」から「キャリアセンター」へと名称を変更している中で、専門学校の場合、名称はどうあれ、その就職サポート体制は4大のそれとは大きく異なります。

Z校の場合、複数の学科・専攻があり、それぞれ担当の職員が副担任という形で関わっています。
4大の中には、スクールカウンセラーが“生活相談”を、キャリアカウンセラーが“進路相談”を担うこととして、「キャリアセンター」に席を並べる学校もありますが、Z校では、スクールカウンセラーは週1日勤務で、現在2名が教員室にデスクを用意されています。
また、単科の専門学校の場合、担任教員が就職まで面倒みる学校もあります。
Z校の大きな特色は、副担任として個別指導に力を入れていることです。

(1)求人の受付と企業対応

HP上からエントリーできるので、一方的に求人票が送られてくることもありますが、多くは問合せの電話が入ります。
書式は企業の指定フォーマットで可としてありますが、なるべく企業案内や参考資料をいただくことにしています。
それは、1社1冊のレターファイルに綴じ、学生が自由に閲覧できるようにするためです。
求人票が送られてきたら、先ず入力し、終了後コピーをとってファイルを2部つくります。
オリジナルは保存用のファイルに綴じるので、合計3部ファイリングしています。
また、毎週末には入力済みのデータを教職員間に流し、教員の意識を高めるようにもしています。
広報サイドには、大企業、有名な会社からどのくらい求人が来ているかを知ってもらい、学校の宣伝に活かしてもらっています。

企業の方が来校された場合、学科担当の職員がお目にかかり話を伺います。
そこで職員の力量が試されるわけですが、優秀なキャリアカウンセラーは、人事担当者がどのレベルか見抜き、企業の求める人材像を聞き出したり、試験内容まで情報を得ます。
専門知識も散りばめながら、相手がどの程度の知識・技術を学生や学校に求めているか、判断します。
人手不足になると「誰でもいいから、とにかく来てほしい」となり、入社後きちんと育てていただけないからです。
ハードルの高い企業は往々にして、入社後の研修体制がしっかりしています。
最近は若い世代が学校周りをすることが増え、キャリアカウンセラーの方が人事担当者に教えたり、場合によってはその方のカウンセリングまでしてしまうこともあります。
それだけコミットしていると、入社後のフォローも安心、というわけでわざと長い時間をかけて面談することもあります。

力のあるキャリアカウンセラーになると、人事権のある管理職に直接お会いして、選考中の学生の個性や能力、長所・短所をこまかく伝えます。
悪い情報、懸念する点まで伝えると相手は安心して見てくれます。
逆に企業サイドが採用を躊躇した場合、学校に相談に来られることもあります。
「面接時の受け答えで、こういう点に不安を覚える」とか、「成績証明はこうなっているが、実際の出来はどの程度ですか?」とか、細かく話して下さるので、キャリアカウンセラーは一旦預かり、担任に確認してかなり率直に伝えます。
学生にとってみるとマイナス評価の部分まで情報提供されてしまうように見えますが、結局、入社後にどのように育てていこうかと考えるために企業の方が聞いてくれるわけですから、お互いに情報交換するメリットは大なのです。

入社式後に配属が決まる企業に対して不安を抱いた学生が、内定辞退をしそうな気配を感じた場合には、人事部長を訪ね、腹を割って話をします。
事前に「確約は出来ないが、なるべく意に沿うよう努力しますから」という言葉を頂いて帰り、学生に伝えます。
企業も定着してもらえるようにと出来る限りのことはして下さるので、学生は安心します。
そのような場合は、入社式の後、配属が決まると報告をしてくださることが多いのですが、まさに人事担当者とキャリアカウンセラーの磐石な信頼関係をどう築くことが出来るか、日ごろからキャリアカウンセラーの手腕が問われる一例でもあります。